ARTIDA OUD

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Journal

ネイリスト/米山成美

interview

ネイリスト/米山成美

指先に広がる、自分だけのオートクチュールアート。

多忙な日常でも、その繊細な表現に私たちは心を満たされ、励まされたり、自信をもらったりできる。たった数cm四方の小さな爪に想いを込めて施術をするのは、代官山と恵比寿にネイルサロン「AOEWD(エイオード)」を営む米山成美。

彼女のネイルが集められたInstagramを見たとき、ARTIDA OUDのテーマ“raw beauty=ありのままの美しさ”に通ずる世界観を感じアプローチした。聞けば、ネイルを施すときは、旅先で出逢う自然からインスピレーションを受けているという。目まぐるしく変わりゆく自然美を見た感動を、そのままネイルに閉じ込めたいと。

ネイル業界でも注目を浴びる唯一無二のネイル作品に見惚れながら、これまで歩んできた道のりについて、「一生続けられるほど楽しい」というネイルに対する想いを聞いた。






時間とともに、ネイルをどんどん好きになっていく


―――米山さんはどのようにして、ネイリストになられたのでしょう?

もともとは美容部員になりたくて、専門学校に通っていたんです。エステやメイクなどいろいろな授業があったんですけど、先生がネイルを褒めてくれて。これなら自信が持てるかもって、ほんとに小さなきっかけからですね。ずっとネイリストに憧れていたというわけではなくて、始めてから13年、時間とともにどんどんネイルを好きになっている感じなんです。





―――ネイルの魅力は、どんなところでしょうか?

その人に似合うものを、自由に表現できるところですね。ネイルのチップを見ながら、「どれにしますか?」とセレクトいただくやり方もあるんですけど、たとえば私は「このジュエリーをつけたいからネイルをコーディネートしてほしい」とか自由度高くオーダーいただくと嬉しいですね。

チップを選んだあとも、その方の肌の色や雰囲気に似合うように、ということを大切にしています。洋服のボタンを替えたい、色味を変えたいと思っても気軽にできませんが、ネイルはひとりひとりに合わせて、繊細に色を変えたり、装飾を考案したりできるところが好きですね。









―――贅沢なオートクチュール品のようですね。

既存の素材だけでなく、いろんなことができるという点では、私、完全にネイルオタクみたいになっているんですよ(笑)。流行って私にはあんまりピンとこなくて、ネイルに新しい要素をどう取り入れるか、こうしたら面白いんじゃないかな?っていうのを常に研究しているから、楽しくて、楽しくて。一生続けられるなって思っています。


―――お客様ひとりひとりと向き合うなかで、嬉しかった瞬間はありますか?

たくさんあるんですけど…いまのお店がオープンしたときから来てくださっている、長いお客様にブライダルのネイルをさせていただいたことでしょうか。月に一度お越しいただき、お話をしながら施術するので、お互いに仲が深まっているんですよね。人生の大切な時期を彩らせていただいたことは、とても感慨深かったです。






―――ご自身のお店「AOEWD(エイオード)」を立ち上げた経緯を教えてください。

私、たぶん何かに満足することがない性格で、これまでに5~6店舗サロンを経験しているんです。ひとつの店舗で学べることを吸収したら、次は別のことをやりたい。その欲がどんどん膨らんでいくので、自分が満足できるサロンを立ち上げたいなという気持ちになって。それで、在籍していた店のオーナーに相談したら、ある店舗をリニューアルしていいよと言われました。ふたを開けてみたら、やらなくちゃいけないことが山積みなお店で…。でも単純だから、頼ってもらえることが嬉しかったんですよね。

オーナーに「1年で再建できたら、私が独立する時に出資してください!」って相談しました。夢中でやっていて1年後に再建できたので、恵比寿にある小さなマンションに移って自分のお店を始めたのが26歳のときです。







「相手が置かれている環境を理解しきれていないのかも」

―――女性が多い職場だと思うのですが、日頃から気をつけていることはありますか?

まわりの人のことを考えるときに、「自分は相手が置かれている環境を理解しきれていないのかもしれない」と謙虚になることでしょうか。年齢も環境も出身も違って、一人暮らしの人もいれば、実家の人もいたり。自分と違う環境の人を理解することは難しいですが、相手の状況を想像するのは、きちんと相手と向き合っていることなのかもしれないと思います。


―――独立を決めたとき、心境の変化はありましたか?

ありました。誰も助けてくれない、責任を取ってくれないという意味で、逆に何も辛くなくなりました。やらされているのではなくて、「自分がやりたいからやってる」っていう気持ちにスイッチしたんです。支えてくれたのは、いま恵比寿店の店長をやってくれているayaというスタッフですね。専門学校の同級生なんですけど、同じ年齢で、今までずっと一緒にやってきました。


―――店名「AOEWD(エイオード)」は、米山さんとayaさんのお名前からインスピレーションを受けたとか?

ayaの「A」と、私のNはWの一部に入っているんです。あとはモードっていう言葉に「時代の最先端をいく」っていう意味があるので入れたくて。いつも、既にあるものじゃなくて自分たちで作り出していきたいんですよね。あとはなぜか「ド」という響きで終わりたかったので、アルティーダ ウードと通じるものを感じます(笑)。


―――今回お声がけさせていただいたのは、米山さんのネイルと、ARTIDA OUDの世界観とに共鳴するものがあるのではないかと思ったからなんです。どうやって、米山さんの独創性が光るネイルは生み出されているのでしょうか?

もともと旅行が好きだったので、モロッコの砂漠やアリゾナなどあちこちに足を運んでいました。ARTIDA OUDも、石の持つ個性を大切にされていますよね。私の場合も、景色や木、自然のものって何一つ同じものがないところに魅せられて…。

あと、アンテロープ・キャニオンに行ったときにインスピレーションを受けたものもあります。



大自然のうねりと迫力に圧倒されて…その感動をネイルにも乗せられたらと思いながら作りました。





自然というインスピレーションがありつつ、いろんな素材をネイルに乗せるとどうなるか試すのが好きなんです。そうやって試した結果として、思いがけず素敵なネイルができることも多いんです。




AOEWDを始めた初期のころにヒットしたネイルです。既存のパーツを乗せるよりも、こんな風に垂れた石があったら面白いなっていうイメージで作りました。ないものを作ってみたいという想いは、いつもあるんですよね。





ARTIDA OUDのジュエリーとネイルのコラボレーション



―――今回、ARTIDA OUDのジュエリーとコラボレーションしていただきました。それぞれのネイルにどのような想いを込めていただきましたか?

こちらは、インパクトのあるジュエリーを引き立たせるアースカラーと、何層にも重なる地層を表現しました。

(左手中指)"bone" bean dome ring 15,120yen (with tax) / (右手中指)"viper" pave diamond ring 43,200yen (with tax) / (バングル上から)"viper" pave diamond bangle 75,600yen (with tax) / "lotus" diamond bangle 50,760yen (with tax) / "bone" organic wide bangle 25,920yen (with tax)




ジュエリーの色から、モネの池のようなものをイメージしました。色を表面で再現するのではなくて、奥から光っているような、素材の発色を生かしたデザインにしました。

(右手中指)"lotus" akoya flower diamond ring 23,760yen (with tax) / (左手人差し指上から)"elafonisi" tanzanite pave diamond eternity ring 29,160yen (with tax) / "eutopia" K10YG cabochon tanzanite ring 30,240yen (with tax) / "eutopia" K10YG sliced amethyst pebble ring 31,320yen (with tax) / (左手中指上から)"eden" K10YG amethyst stone customize ring 33,480yen (with tax) / "eutopia" K10YG sliced rainbow moonstone pebble ring 34,560yen (with tax) / (左手薬指)"eden" K10YG tanzanite stone customize ring 32,400yen (with tax)




AOEWDオリジナルのパウダーを使い、淡い光と水々しい立体を表現しました。

(左手中指上から)"dawn" K10YG melee diamonds ring 24,840yen (with tax) / "eden" K10YG round small rhodelite bezel ring 29,160yen (with tax)(左手人差し指上から) / "jupiter" disque sapphire and ruby ring 17,280yen (with tax) / "eden" K10 round small iolite bezel ring 25,920yen (with tax) / "eden" K10YG round blue topaz bezel ring 29,160yen (with tax) / (右手中指&人差し指)"gaia" pave link double finger ring 24,840yen (with tax)

 




両手とも、人指し指のインパクトに合わせてデザインしました。リングを邪魔しないよう、透明感を重視しています。


(右手人差し指)"eutopia" K10YG cabochon gold rutilated quartz ring 31,320yen (with tax) / (右手中指上から)"selene" grand-disque pave diamonds ring 29,160yen (with tax) / "jupiter" disque pave diamonds ring 17,280yen (with tax) / (左手人差し指)"viper" K10YG melee diamonds ring 27,000yen (with tax) / (左手薬指)"lotus" diamonds ear cuff 12,960yen (with tax)(リングとして使用)



―――新しいネイルの構想はありますか?

本当にやりたいと思うのは、ジェルのカラーを使わないで、自然の顔料を使って色を作っていくネイルですね。うちのお店は顔料を多く揃えているんですけど、“塗っている”感覚じゃなくて、自然の色を身につける感覚というか…絶対誰ともかぶらない、その人だけの色味を提供していきたいです。





お客様の予想を一歩こえて、感動を提供できる存在でいたい


―――お仕事するうえでのモットーを教えてください。

妥協しないということでしょうか。完成のイメージがわかるのって自分しかいないじゃないですか。オーダーいただくときも、自分が納得して、これならばお金をいただいても良いなって心から思うレベルまでやることです。

あと、こんなネイリストでありたいなっていうのは、お客様の予想を一歩こえて、感動を提供できる存在でいたいですね。昔から来てくださる方は、オーダーの仕方が、「今日何やるの?」みたいな感じで。「自分で思いつかないアイデアや、プラスアルファのエッセンスを入れてくれるのがいいよね」と言っていただけることが一番うれしくて。これからも追求していきたいです。


―――全国でプロネイリスト向けにネイルセミナーもされているそうですが、生徒さんには、どんなことを伝えたいですか?

業者の方にInstagram経由でお声がけいただいたのがきっかけです。これまでサロンワークが9割だったんですけど、徐々にセミナーも増えてきて、今年から仙台や青森、関西にも行っています。

ネイルの業界って、実は硬派な部分もあって。そんななか、何者でもない私にお声がけいただいたのは、嬉しくもあり恐縮もしました。

私の場合は、お手本を見ながら同じデザインを作っていくセミナースタイルではなく、技術だけを教えたら、あとはそれぞれのデザインを生み出していただく内容です。伝えたいのは、ゼロを1にする発想ですね。私はこんな感じでやっていますと伝えて、1を100にするのはお客様。それぞれの感性を大切にしていただきたいんです。ネイルって、ある程度できるようになってくると、もう技術の習得は頭打ちかなって思う瞬間があるんです。でもそこから突き詰めるのが、好きかどうかっていうところ。勉強して身につける受け身のネイルよりも、楽しみながら、発見しながらやって、せっかく好きなことなんだから続けていただきたいです。私の実体験でもありますね。


―――講師をやられたりお店を経営されたり、お忙しいなかで無邪気になる瞬間はありますか?

実は今年結婚するんですけど、パートナーと話をしているときですかね。緊張せずに、飾らないでいられる時間です。彼は私と真逆の発想の持ち主で、例えば仕事で落ち込んだとき、親身になって聞いてくれたうえで「そんなことで動じてるの?」って。それが私にはすごく合っているみたいで、気持ちが軽く、前向きになれるんですよね。


―――今後の夢を教えてください。

個展をやってみたいです。実は3年前ぐらいから言っているんですけど、個展をやっても人が来てくれなかったら意味がないから、お客様に「米山さんのネイルが見たい!」って足を運んでいただける人間になるっていうのを、ずっと3年間目標にしてきました。来年ぐらいにはできたらいいかなと。夢は膨らみますね。




―――ARTIDA OUDは“raw beauty=華美に飾らないありのままの女性の美しさ”がテーマです。そういった意味で「美しい」と思う女性はいますか?

難しいですね…私は、誰かに憧れていても、常に意識しないようにしているフシがあります。ありのままでいられる方は全員、本当にすごく素敵だなって思っちゃうんですけど、影響を受けすぎてしまいそうで…。自分に嘘をつかず、のびのびと自己表現できる方は、全員美しいと思います。


―――ありのままの女性の美しさには内面の美しさもありますが、米山さんが「自分を育ててくれた」と思うものはありますか?

リンカーンの「意思なきところに道はなし」という言葉ですね。悩んだときはいつも思い出します。「気の持ちよう」という言葉がありますが、意思があれば自分を褒めることもできるし、落ち込むときもちょっとプラスになること考えられます。

私、ネイルに出合うまでは何にもやる気がでない人間だったんです。世の中の楽しいことっていったい何なのかわかってなかったし、ただまわりの人たちがわいわい騒いでいることが「世の中の楽しいことってこれか〜」って。

リンカーンの言葉は、初めて自分でお金を貯めて旅行に行ったときに出合いました。美しい自然の写真を撮ったときに、突然、その写真に言葉をつけたくなって。ピッタリくる言葉ってなんだろうって探していたときに「意思なきところに道はなし」っていうのが、響いたんです。いままで意思がない人間だった私が、意思を持ちたいって思った瞬間でしたね。


―――ARTIDA OUDで気に入ったアイテムあったら教えてください。

シリーズ名からして、boneが好きです。こういった有機的なフォルムはもともと好きなんですけど、boneってカタカナで書いたら、「生まれる」っていう意味もあるので。セミナーでも、ゼロからイチを生む発想を伝えたいですし、私自身、ゼロから何かを生み出す気持ちを常に持ち続けていきたいと思っています。







PROFILE




米山成美

1988年生まれ、長野県出身。代官山と恵比寿のネイルサロン「AOEWD」オーナー・ネイリスト。既存のネイルアートのスキルにとらわれず、独自の発想やアイデアをカタチにしていくことが得意。日本各地でネイルについての公演も行う。

https://www.aoewd.tokyo/


Instagram
https://www.instagram.com/aoewd_nail/



PHOTOGRAPHER/YUYA SHIMAHARA

EDIT/RIDE MEDIA&DESIGN

TEXT/HANAKO FUJITA





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